column
りりこのコラム
家づくりにおける屋根の文化
「われわれが住居を営むには、何よりも屋根という傘を拡げて大地に一郭の日かげを落とし、その薄暗い陰翳の中に家造りをする。もちろん西洋の家屋にも屋根がない訳ではないが、それは日光を遮蔽するよりも雨露をしのぐための方が主であって、蔭はなるべく作らないようにし、少しでも多く内部を明かりに曝すようにしていることは、外形を見ても頷かれる。(谷崎潤一郎「陰翳礼讃」)」
その陰翳こそが蒔絵や螺鈿を始めとする日本文化を育んだのだと谷崎先生は言います。
しかし、先生の屋根への考察には異議ありです。私たちは、傘というと雨傘を連想することが多いと思います。
他方、umbrellaと言う英単語が日よけや日陰を意味するumbraというイタリア語に語源を持つように西洋のそれは、日光を遮蔽するものであり、我が国の屋根や庇は1年の半分を雨に曝されるために発達したと言えるでしょう。
この時期に降る長雨を「秋霖」といいます。
霖とは、慈悲深い人を指します。秋の長雨は植物を育み夏の渇きから人々を救ってくれる恵の雨なのかもしれません。そしてその雨が人や植物ばかりでなく、我が国の建築や文化も育んだのです。
デザインや機能ばかりでなく、こういった文化的な側面にも思いを馳せる家づくりをしたいものです。
HOME MAKING
りりこの住まいづくりへの想い
RENOVATION
りりこのリノベーション
郡山市,須賀川市,田村市を中心に事業を展開する
増子建築工業(りりこ)のリノベーションについてご紹介いたします
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